IFEフォーラムシンポジウム
輝く星のエネルギーを地上へ ~レーザー核融合が拓く低炭素社会~

【1】日時、場所

日時 平成21年11月25日 13:30~17:00
場所 全社協・灘尾ホール(新霞が関ビル)    
東京都千代田区霞が関3-3-2 

【2】参加者

約150名

【3】全体概要  

世界の主要レーザー核融合研究施設の報告として、日本からは疇地宏氏、米国からはエドワード・モーゼス氏、欧州からはマイク・ダン氏が現状報告を行った。パネル討論ではこの3名に加え、プラズマ核融合学会会長の本島修氏をパネリストに迎え、評論家の立花隆氏をコーディネーターに、低炭素社会に向けて日本の核融合研究をどの様に進めるべきか議論した。低炭素社会に向けて人類の最終的なエネルギー源として期待されている核融合技術の一つであるレーザー核融合研究の進捗状況、特に米国の国立点火施設NIFでは、人類初の制御された核融合点火・燃焼が間近であることが広く認識された。 また、このような現状を踏まえ、今後のレーザー核融合研究の進め方として、磁場核融合とも共通分野については相互協力することや日米欧が密接に協力して研究を進める事が重要であることがアピールされるなど活発な議論が行われた。

モーゼス氏による基調講演(左)会場からも核心に迫った質問があった(右)

【4】基調講演概要

1)「高速点火実証実験FIREXからレーザー核融合実験炉へ」 
疇地 宏  大阪大学レーザーエネルギー学研究センター センター長

高速点火原理実証実験FIREXの現状が報告され、国際協力で発電実証を進めるレーザー核融合発電実験炉i-LIFTが提案された。 追加熱用LFEXレーザーの1ビームが稼働し始め、実際の爆縮加熱実験に用いられ、30倍の核融合中性子の増大が観測されたことが報告された。実験結果からFIREX―1の目標である5keVへの加熱に見通しが付いたことが報告された。 透明度の高いセラミックYAGとレーザーダイオードアレイにより、炉用レーザーの建設見通しが付いたことをベースに、国際協力で発電実証を進めるレーザー核融合発電実験炉i-LIFTが提案された。

2)「米国立点火施設NIFとレーザー核融合・核分裂ハイブリッド発電炉構想」 
Edward Moses   米国ローレンスリバモア国立研究所 国立点火施設 所長

国立点火燃焼施設NIFの詳細が報告された。5月の完成以降、170ショットの運転が行われ、順調に稼働していること、重水素を使ったクライオターゲット爆縮実験で半径比33倍の圧縮ができ、1011のDD核融合中性子が発生し、シミュレーション予想と合致したことが報告された。 将来計画としてNIFのクラスのレーザーとターゲット技術の延長で繰り返しを高め、生成した核融合中性子で核分裂物質を燃焼させて発電するLIFE計画が紹介された。2020年には発電実証を、2030年には商業化を目指す野心的な計画であった。

3)「欧州におけるレーザー核融合発電実証HiPER計画」 
Mike Dunne  英国ラザフォードアップルトン研究所 レーザー施設 所長

欧州におけるHiPER計画の現状が紹介された。リバモアによる点火燃焼は確実なものと考え、高繰り返しを目指すHiPERプロジェクトがスタートした。昨年10ヶ国26研究施設が参加して調印式を行い、共同で高繰り返しレーザーの開発を進めることで合意した。また会期中にチェコが4000万ユーロを拠出することを決めたとの連絡があったことが報告された。6年程度で技術的確立を図り、2030年には発電を実証する計画である。資金の確保、産業界との連携が重要で、NIFによる点火燃焼が産業界から投資を得る重要なきっかけになること、日米欧の協力、法整備、民間へのアピール等が重要であることが強調された。

【5】パネル討論概要

立花隆氏をコーディネーターに、パネリストとして、本島修氏、エドワード・モーゼス氏、マイク・ダン氏、疇地宏氏を迎え、低炭素化社会に向けて日本の核融合の研究をいかに進めるべきか議論された。 立花氏よりモーゼス氏、ダン氏にいくつかの質問をして、それらの質疑の後、本島氏、疇地氏のコメントを求める形で進められた。 立花氏からモーゼス氏への質問の要点は、米国では慣性核融合は一般市民にどのように受け入れられているのか。点火燃焼を達成した後、実際に安定にエネルギーを取り出すまでにはかなりの困難があることを指摘する人がいるが、どのような展望を持っているのかの2点であった。 モーゼス氏の回答は、未解決の問題がないわけではないが、レーザー核融合は各要素の独立性が高く、設計に自由度があり、対応可能と考えている。基本的には経済性で、米国民が受け入れ可能なのかはまだ分からないとのことである。 ダン氏からは磁場核融合、慣性核融合の比較よりも、最終目標に焦点を合わせ、世界で協力して進めるべきことが強調された。 本島氏より、磁場核融合も慣性核融合も核融合出力という点で見れば、開発時間は同じ程度になる可能性があり、相互の協力、コヒーレンスが大切であるとの指摘があった。また、専門家が増えすぎ、全体を見ることができる研究者が減っている危険性が指摘された。 疇地氏からは慣性核融合では点火後の物理には問題が無く、開発時間は短いと予想されていることと、電力需要の基本負荷を磁場核融合で、変動の激しい日中の負荷を慣性核融合で供給することが社会に説明しやすいことが説明された。 最後に立花氏より、人類は1万年続かなければ宇宙の中で消えて行く。今のままではエネルギー資源が持続できない。第2のプロメテウスの火を手に入れ、第2の進化の時代に入らなければならない。今までの資源を奪い合う形から協力して共有するようになることを希望するとの結論がしめされた。

パネリスト疇地氏、本島氏、モーゼス氏、ダン氏とコーディネーター立花氏

Copyright (C)2011 IFE Forum. All Right Reserved.