Hunting the holy grail of fusion

2007年9月にTIMES ONLINEにて紹介された記事を要約します

Jonathan Leake and Elizabeth Gibney

これまで,核融合によるエネルギーエネルギー生産を実現するため,多くの科学者たちが研究を行ってきました.   
1958年1月25日,「Zeta」と呼ばれる制御核融合施設が世界で初めての制御核融合反応を行ったとJohn Cockcroft(ノーベル賞を受賞したHarwell研究所の責任者)が報告しました.1989年にはある科学者の一団が常温核融合の実現を,2002年にはまた異なる科学者の一団が泡核融合の実現を報告しました.しかしいずれも実際には核融合は起こっておらず,後にこれらの報告は撤回されました.   そして2007年9月,イギリスのHarwell研究所において核融合を達成するためのプロジェクトが始まったという報告がなされました.私たちはこれをどう受け取るべきなのでしょうか?   Mike Dunne(ラザフォード・アップルトン研究所の教授)は核融合が実現できると考えられる設備の建設資金としてEUから?500mの補助金を受け,設備の設計および建設場所の捜索を開始しました.彼は非常に用心深く,核融合の実現には何年もかかるだろうし保証もできないと警告しています.しかし,安価なエネルギーを核融合によって無限に供給できる,そんな新時代をイギリスが導くという希望を持ってプロジェクトに取り組んでいます.この多大な援助を受けた核融合への試みが太陽と同じエネルギーを活用するチャンスとなるか,それとも失敗に終わるかはわかりません.しかしDunneの企画はCockcroftのものと同様素晴らしいもので,技術的にいくつかのハードルがあるもののヨーロッパの委員会から承認を得られるほど現実的なものです.   彼の提唱する設備はHiPERと呼ばれ,真空チャンバ内のごく小さな水素ペレットをレーザーで点火します.大出力のレーザー光をペレットに照射することで圧縮と加熱を同時に行い,その温度は1億℃(太陽の温度の10倍)にまで達します.このような温度では物質を構成する原子は電離します.そうしてできた水素の原子核はとんでもない速度で飛び交い,互いに衝突して融合します.このとき原子核の質量が失われ,光や熱,放射線といった形でエネルギーとして変換されます.このエネルギーを用いることで発電が行われます.   核融合の原理自体はアインシュタインの理論によってすでに証明されており,1952年にはアメリカがこの理論を用いて水素爆弾を作りました.水素爆弾に含まれる数百グラムの水素から生み出されるエネルギーはすさまじく,太平洋の環状サンゴ島をすべて吹き飛ばすほどのものでした.このように,1950年代からすでに核融合を起こすことは可能ではありましたが,水素を加熱・圧縮するために原子爆弾を使用する非常に危険なものでした.   その後,Dunneの計算によって大出力レーザーによっても原子爆弾と同様の効果が得られることが証明され,その結果を受けてHiPERの設計が開始されました.   エネルギー資源の枯渇や気候の変化といった世界的な脅威から,世界的に核融合への興味が高まっています.EUはHiPERのほかにも, ITERと呼ばれるプロジェクトを日本やアメリカと共にフランスで推し進めています.ITERはHiPERとは異なる手法で核融合の実現を目指すもので,核融合燃料の加熱・圧縮に強力な磁場を用います.さらにアメリカのカリフォルニア州でも国立点火施設の建設が行われています.   国際エネルギー機関(IEA)によると,2004年に世界で消費されたエネルギーは114億バレルの石油に匹敵し,2030年までには消費エネルギーの石油換算量は171億バレルにまで上昇すると推測されています.そして気候の変化が世界的に差し迫った問題となるころには,エネルギー生産における二酸化炭素の排出量は現在の155%にまで増加していると警告されています.   「核融合はエネルギーを確実に安全保証する方法だとか,気候変化を無視することの責任転嫁先として考えるべきものではない.いつ,そしてどのように実現されるかわからない核融合は私にとって聖杯のようなものだ.」―――― by Dunne

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