高効率—200W級太陽光励起YAGセラミックレーザーの開発に成功


2007年9月

独立行政法人 宇宙航空研究開発機構
財団法人 レーザー技術総合研究所
大阪大学 レーザーエネルギー学研究センター

 宇宙空間で24時間利用可能な太陽光をレーザー媒質に集光し、地上への伝送のために指向性の良いレーザー光に直接変換して地上へ送るという宇宙太陽光発電の研究が宇宙航空研究開発機構を中心としで進められている。
 太陽励起レーザーの研究は宇宙航空研究開発機構および財団法人レーザー技術総合研究所において共同で長年開発が進められており最近、顕著な成果を上げてきた。
 今回、(独)宇宙航空研究開発機構、(財)レーザー技術総合研究所、大阪大学レーザーエネルギー学研究センターの共同グループが、太陽光を模擬した励起光源を用いた200W級YAGセラミックレーザーの大出力開発に成功した。これは人工太陽模擬のランプ励起ではあるが太陽励起レーザーとしては世界最大級であるとともに40%の高効率を達成している。

 使用したレーザー発生装置はYAGセラミック材料を用いたアクティブミラー型レーザー増幅器等で構成されている。種となる発振器からのわずか0.5W出力のレーザー光をレーザー媒体に多数回通過させて増幅し、180Wの連続レーザー光を得ることに成功した。効率は高く,光-光変換効率40%を達成し、長距離伝送に必要となるシングルモードでのレーザー発生を実現している。太陽光励起固体レーザーとしてシングルモードで200Wクラスのエネルギー出力は世界で初めてとなる。今まで小型レーザーの研究でもほぼ同様の効率を得ていたが大出力装置でも同じ効率が達成された。

 また実際の自然太陽光でもほぼ同様の効率が得られている。この効率は太陽電池のそれを上回る。太陽の持続可能クリーンエネルギー源としての新価値を意味付けるものであり、今後の応用として宇宙—地上での水素生成が考えられる。これは既にレーザー総研により特許化されており今後の動向が興味深い。

 本装置に用いられているYAGセラミック材料は、一般的な結晶の固体レーザーに用いられるNd添加YAGとは大きく異なる特徴を持つ。大阪大学レーザー研、神島化学工業(株)のグループがレーザー波長で損失が非常に少ないNd(ネオジウム)とCr(クロミウム)を共添加した大型のYAGセラミック材料の試作に世界で初めて成功し、当研究所がレーザー発振に初めて成功している。

 現在までに、日本での実太陽励起レーザー研究としては東北大の湯上・嵐グループによるNd:YAG結晶レーザーを用いた40W出力の例やセラミックス材料を用いた東京工大の矢部グループの24Wの実績がある。海外では、イスラエルのM.Wekslerらのグループの数百W出力がある。これらの太陽光からレーザー光への変換効率は数%~10%程度であった。

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詳細資料「太陽光直接励起レーザーの開発」はこちら
新聞掲載記事(9月4日分)はこちら
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