太陽光直接励起型固体レーザー
太陽光のコヒーレント変換が高効率で実施できると、応用先は広く環境・エネルギー問題への対応と同時に新しい低コスト新産業創成につながる可能性を持っている。
太陽光利用は従来からバイオマスの育成、光電変換での電気エネルギー化、高温水の直接利用や蒸気発電などで進められているが、コヒーレンスの利用には達していない。
光のコヒーレンスの特徴はビーム拡散がなく長距離伝送が可能で狭い領域へのエネルギー集中が可能、単色であってスペクトル上で取り扱いが容易、
パルス化ができて高いピーク出力が得られるなどである。
太陽励起レーザーでは効率的太陽電池の研究と同様に、太陽光の広いスペクトルをくまなく利用し尽くすことが高効率システム開発に要求される。
CrイオンをNd:YAGセラミックスに高濃度で共ドープすることにより、900 nm以下の太陽スペクトルの80%以上をレーザー媒質に投入できる。

図1 Nd/Cr:YAGセラミクス材料
すでに太陽模擬ランプ励起アクティブミラー(AM型)増幅器システムで200 W連続出力を実現した(図2)。
すでに良く知られた応用先の一つは、長年JAXAにおいて取り上げられてきた宇宙における太陽発電・地上へのエネルギー伝送の研究がある。
もともとエネルギー形態は数GHz帯のマイクロ波生成を想定していたが数年前から、システム効率、軽量性、コンパクト性、
地上での小規模基地などからレーザー利用が並行した課題として取りあげられている。

図2 アクティブミラー型模擬太陽光励起レーザー装置
現在、高温利用の応用研究として酸化反応で実現する高付加価値のTiO2ナノ粉体製造の研究に取りかかっている。水中で金属チタンをレーザーアブレーションで酸化させ、
水中にナノ粉体を放出させる。サブミクロンサイズ100〜600 nm程度のTiO2球体が観測されはじめた。高温発生部の多相状態のシミュレーションを駆使して、
TiO2の結晶形式選択性や粒径制御、また低コスト生産性などの研究に取り組む。
物質様態の異なる相を含めて熱輸送と原子分子反応を解くには各種物質の状態方程式の確定が重要で、今までにない基礎科学の隙間を埋める新たな研究領域である。
本研究テーマは、阪大レーザー研からは研究支援を、JAXAや関西電力からは研究資金の支援をいただいた。ここに深く感謝します。
