CFRPのレーザー加工
 

 CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic:炭素繊維強化樹脂複合材料)は、軽量、高強度、高剛性、 高耐久性といった特徴を合わせ持つ次世代エンジニアリング材料として注目されています。目的に応じた構造がより軽量で実現できるため、 航空機や自動車の燃費向上による省エネ効果が期待されています。CFRPは炭素繊維とマトリックス樹脂から成る複合材料です。 炭素繊維とマトリックス樹脂の熱伝導率、蒸発/分解温度、蒸発熱、それぞれ樹脂と炭素繊維では1桁以上の差があります。 炭素繊維に比べて樹脂の方がより低い温度で、より少ないエネルギーで蒸発することが分かります。CFRPのレーザー加工における問題は、 レーザー照射条件を樹脂に最適化すると炭素繊維が加工できない、炭素繊維に条件を合わせると樹脂に過剰な熱が加わるという点です。 また、CFRP内を縦横にはしる炭素繊維による熱伝導も考慮しなければいけません。

 我々は、超短パルスレーザー加工のCFRPへの適用性の検討を行ってきました。これまでの研究結果から、 (1)超短パルスレーザーにより熱影響の少ない加工が可能であるがパルスエネルギーが小さいために加工レートも小さい、 (2)炭素繊維さえ細切れにすれば低強度のレーザーでもCFRPの切断が可能、 (3)加工部の間口を広げれば加工レートの低下を防ぐことが可能、であることが分かってきました。

 図17に炭素繊維をクロスに織り込みRTM成形(レジントランスファー成形:型内に炭素繊維の織物をセットした後、 母材となる樹脂を含浸した後、硬化させる手法)で製造されたCFRPを超短パルスレーザーで切断した結果を示します。 図17 (a) では、パルス幅100 fs、平均出力0.2 Wのレーザーを600往復掃引させました(加工時間38分)が、 溝のアスペクト比が大きくなるにしたがって加工の飽和が起こり切断に至りませんでした。図17 (b) では、 パルス幅200 ps、平均出力0.38 Wのレーザーを300往復掃引させました(加工時間19分)が、(a) と同様に完全な切断に至りませんできた。 図17 (d) では、入射側の開口部を広げるために集光位置を移動させながら(図17 (c) )パルス幅100 fs、 平均出力0.2 Wのレーザーを合計500往復掃引させることで効率よく切断が可能となりました。 図18にパルス幅200 psのレーザーでCFRPをトレパニング加工してくり抜いたサンプルの光学顕微鏡写真をしめします。

 

図17 超短パルスレーザーによるCFRPの切断 (a)パルス幅100 fs (b)パルス幅200psを同一箇所で掃引
  パルス幅100 fsのレーザーの集光位置を移動しながら掃引してCFRPを切断
(c) 集光の移動方法 (d) 切断試料 (試料の厚みは2 mm)


図18 パルス幅200 psのレーザーでCFRPをトレパニング加工してくり抜いたサンプルの光学顕微鏡写真

 
関連レーザークロス

  • No.267 2010年6月(次世代軽量化材料CFRPを超短パルスレーザーで加工)