核消滅処理:レーザーコンプトンガンマ線による核変換
 

2. これまでの研究成果


2-1 光子蓄積実験
 
   レーザー蓄積キャビティによるγ線発生の高効率化、高輝度化の概念をたて、これに基づく特許を取得した。 またこの実証実験を行い、レーザー光蓄積がスーパーキャビティ内で起こり5000倍以上に達し、このなかでコンプトン散乱が可能である原理実証を行った。 図1にこの光蓄積の結果を示す。


図1 光蓄積の結果 縦軸は蓄積率、横軸は光学素子の吸収率
 

 この結果は現在のレーザー技術において光蓄積10000~100000が可能であり安定してこのような光を利用できる事を示している。 現在共用の加速器を使っているが専用加速器を使う事により所定のガンマ線を出す事は技術的に問題無い。図1の実験では市販の光学素子を用いたている。 図中の文字はそれぞれのメーカーを略して記している。

 

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2-2 ニュースバルにおける核変換実験
 
  核変換実験は兵庫県立大学の電子蓄積リングを用い光子-電子衝突で~20MeVのガンマ線を用いておこなった。図2にこの概要を示す。

 

図2 ニュースバル電子蓄積リング(兵庫県立大学)におけるレーザー位置と相互作用点および計測点

 点に核変換ターゲットを設置し核変換実験を行った核変換に適した10~20 MeVγ線を発生した。この配置を示す。 ここでレーザー位置と相互作用点および計測点を示す。計測点に核変換ターゲットを設置し核変換実験を行った。ニュースバルは周長約100mの電子蓄積リング加速器。

この結果をまとめると

  1. レーザーコンプトン散乱による核共鳴γ線の発生 (1MeV)                     
  2. γ線と核との相互作用とその反応率の計測              
  3. 共鳴γ線と核との相互作用による中性子/陽電子-電子発生とそのスペクトル計測
  4. ヨウ素(127)核変換の実証及び、ヨウ素核(129)核変換の実証

である。今度偏光γ線による反応率の向上性の検討が今後の課題として残っている。

 
トピックス

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ヨウ素核変換
 
   目標はヨウ素129核変換である。ヨウ素129核は1570万年の寿命を持つ。このため瞬時の線量は少ないが甲状腺に集まると言う特性を持ち、化学的にも活発である。 このため核変換することが求められている核種の一つである。ヨウ素に、このγ線を適用し核変換が起こっている事を確認しその特性を調べた。 ヨウ素127を用い核変換実験を行った。ガンマ線照射ー核変換されたヨウ素126はXe126とTe126に崩壊していく。このときに発生するX線計測結果を図3に示す。 崩壊特性時間は12.7日で、127ヨウ素核変換確認を確認した。


図3 核変換により誘起されたヨウ素126のXe126とTe126への崩壊
 

 同様の実験がヨウ素129においてもおこなわれた。これは放射性であり大量に使用できない。結果は崩壊特性時間が30分であった。 また反応断面積などもこれまでの定数と一致している。

 

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中性子スペクトル計測
 
   LCSG照射に伴う中性子や対創成電子および陽電子等の粒子計測を行った。これらによるターゲット加熱や周辺構造に及ぼす効果-影響を調べている。 図4に中性子のエネルギースペクトル計算結果と計測結果を示す。


図4 核変換中性子の計算結果と計測結果(丸印)の比較
 

SRリングの電子ビームに同調したパルスレーザーを電子に衝突させ、これにより発生するパルスガンマ線に対しゲートを開いた中性子飛行時間法によりスペクトルを計測した。 MCコードを用いた予測値(実線)とよく一致している。

 

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対創成粒子の発生とそのスペクトル計測
 
   γ線照射によりターゲット内で対創成が誘起されこれにより発生する陽電子?電子のエネルギーは入射γ線のエネルギーの90%に達する。 このターゲット構造を適切に設計すればこれら粒子は熱として回収できる。

 このため対創成粒子計測を行った。この結果を図5に示す。ターゲットに鉛を用い磁場で粒子を分散している。磁場強度の違いによりピーク値が異なる。 中心はターゲットを透過したγ線で左右対称に陽電子と電子が検出されている。左右像に差異があるのはターゲット電子のコンプトン散乱反跳電子の重畳による。

 この解析によりこれら粒子のエネルギースペクトルが求まり、この停止長よりターゲットの大きさや外被覆部の構造が決まる。 この解析によると5~6 MeVがピークでこれを停止する熱伝導の高い高融点金属が外被覆部に適している事が分かった。


図5 照射ガンマ線対創成による陽電子(右)及び電子の計測結果

 

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エネルギーバランスに対するシミュレーション
 
  汎用モンテカルロコードを用いてターゲット部での中性子によるエネルギー増倍をシミュレートした。 ターゲットは半径3 cmのヨウ素でこれに2 cmの被覆部の銅で覆われた構造を想定している。3重に積層した水(5 cm厚)と一般的な核燃料ウラン(5 cm厚)をこの外側に装荷した。 5~10 cmの厚さで大きく変化し中性子を熱化している。

 多重層の核燃料と水冷却層を組み合わせた構造に対する計算によれば。円筒対象で。20 MeVのガンマ線をヨウ素129ターゲットに打ち込んでいる場合において 20 MeVの光子1個に対し約300MeVのエネルギー出力が得られている。これは約2回弱程度、核分裂反応が起こっており、未臨界であると考えられる。 これらの研究よりエネルギーバランスは取りうる事が解った。

 

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