白色光ライダー

 

環境問題は、人類の活動がついに地球の有限を意識せざるを得ないところまで増大したために引き起こされた大問題です。 本来、環境問題に対しては予防措置で対応すべきもので、長期的視野に立てば、環境問題となっている現象の物理的理解に基づいた環境モニタリング技術の高度化が、 21世紀での最重要課題と言えるでしょう。

レーザーを利用した遠隔計測の重要な応用として、大気観測があげられます。 大気中のエアロゾルや分子による光の吸収や散乱を利用して、その濃度や大気温度を遠隔で精度良く計測することができ、 レーザーレーダーまたはライダーと呼ばれています。 これまで大気観測の対象としては、浮遊エアロゾル、水蒸気、オゾン、二酸化炭素、窒素酸化物、塩素、トルエン、ベンゼン等多岐にわたって測定が行われていますが、 今後は、温暖化ガスであるメタン、亜酸化窒素、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、6フッ化硫黄の測定が重要となるため、 より広範な測定対象へのレーザー計測(ライダー)技術の適用が重要な研究課題となります。

しかし、従来の手法では、特定の測定種に対して特定の波長が要求され、測定対象種それぞれに対して一台のレーザーを必要としており、場合によっては、 測定精度を上げるために近接した発振波長を有する2~3種類のレーザーを同時に動作させています。 一部では、波長可変レーザーが使われだしていますが、一度に使える波長は限られています。 より多くの大気情報を得るために測定対象を広げることは、測定光源の大規模化・煩雑化を意味するのです。

当研究所では、今後の地球規模の大気観測における技術革新には、これまでにないアイデアに基づいた技術のブレークスルーが不可欠であると考え、 その最有力候補として白色光ライダーの開発を進めています。

遠赤外から紫外に及ぶ超広帯域のコヒーレント白色光をライダー光源として地上で散乱成分を時間分解・分光することで、 多種多様なガス分子の高度分布情報を総合的に収集することが可能となり、地球環境問題への重要な知見を与えることが期待されます。

 


白色光ライダーの実験の様子

 

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