研究紹介

STUDY

レーザーバイオ化学研究チーム

MEMBER

メンバー紹介

主任研究員 谷口 誠治
副主任研究員 コスロービアン ハイク
特別研究員 中島 信昭

チーム紹介

 化学、生物学分野へのレーザー技術の応用を目的に、レーザー分光技術を用いて蛋白質や酵素の機能メカニズムを解き明かす研究を行っています。またレーザーを用いてナノ粒子を作製する技術や、ランタニドイオンの価数変換技術の開発にも取り組んでいます。

フェムト秒レーザー分光技術の開発

 光励起により起こる蛋白質や分子の反応は時として非常に速く、その時間領域はフェムト秒(10-13〜10-15秒)にもおよびます。これらの光反応を観測するための技術として、パルスレーザーを用いた蛍光計測技術(時間分解蛍光分光技術)を開発しています。フェムト秒パルスレーザーを蛋白質や分子が溶解した溶液試料に照射して光励起した後、試料から発生する蛍光を計測することにより、光反応の様子をフェムト秒の時間領域で観測します。また光学顕微鏡との組み合わせにより、蛋白質結晶などの微細な固体試料の光反応の時間分解計測も可能です。

●フェムト秒時間分解蛍光(蛍光アップコンバージョン)計測システム

 

●顕微蛍光アップコンバーション計測システム

時間分解レーザー計測による蛋白質の機能メカニズムの解明

 自然界に生息する多くの動植物は、光合成や視覚機能等さまざまな形で光を利用しています。これら生体の光機能には、光エネルギーを吸収して化学的、電気的エネルギーに変換する蛋白質や酵素の反応が必ず介在しています。本研究では、パルスレーザーを用いた時間分解蛍光計測、顕微分光等の実験的手法に加え、分子動力学計算などを用いて、蛋白質や酵素の機能メカニズムを解き明かす研究を進めています。またこの機能メカニズムを創薬等の開発に繋げることも検討しています。

 

●光機能性蛋白質PYPの超高速光反応

液中レーザーアブレーションによるナノ粒子作成

 直径がナノメートル(10-9〜10-11 m)領域の非常に微細な粒子のことをナノ粒子と呼びます。最近では、ナノインクや触媒、電池材料、バイオマーカーなど、ナノ粒子が持つ特殊な物性を生かした応用が様々な分野で進んでおり、今後その需要は増加すると予想されています。液中レーザーアブレーション法など、レーザーを用いた簡便なナノ粒子作製手法の開発を目指して研究を行っています。

●液中レーザーアブレーション法の原理図

 

●酸化第二鉄を原料に用いた還元鉄ナノ粒子の作成

レーザーを用いたランタニドイオンの光還元

 液体中で溶解したランタニドイオンは、光励起により酸化還元反応を示し、イオンの価数を変化させます。この反応を利用すれば、有用な金属を回収したり、放射性物質を取り出して減容(容量を減らす)することも可能です。本研究チームでは、パルスレーザーを用いてランタニドイオンに高い励起エネルギーを与える手法(多光子励起)により、光還元反応を効率化することを目指して研究を進めています。また、この手法の放射性物質への適用についても検討しています。

 

●多光子励起によるランタニド(ユーロピウム)イオンの光還元反応

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