研究紹介

STUDY

産業用レーザー開発プロジェクト

MEMBER

メンバー紹介

プロジェクトリーダー 藤田雅之

産業用レーザー開発プロジェクト

 レーザーの応用分野が拡大し、より高出力、高効率かつ集光輝度が高いレーザーの必要性が増しています。本プロジェクトでは、レーザー装置の高出力化、多ビーム結合による高輝度化、高出力レーザーの波面補償などの研究を進めています。

高出力固体レーザー開発

 キロワットクラスの高出力CWレーザー装置を開発するため、Yb:YAGをレーザー媒質に用いたTRAM方式による固体レーザーの研究を進めています。TRAM(Total-Reflection Active-Mirror、全反射アクティブミラー)は、アンドープYAGセラミック材料の底面に薄いYb:YAGを接合した構造を持っています。励起光とレーザーを全反射させることで、レーザー出力効率の損失を抑制できます。また、Yb:YAG層が底面にあることで、媒質が励起光を吸収するときに発生する熱を冷却しやすくなり、レーザーの出力特性が向上します。これまでに、出力特性の良い低温(液体窒素温度)で1.5kW、常温(〜10℃、水冷)でも1kW以上の発振出力を実証し、10kW級レーザーのスケーリングも可能になりました

 

Yb:YAG TRAMの写真     

  Yb: YAGコンポジット            TRAM方式によるレーザー発振    

 

   

   液体窒素冷却クライオスタット          水冷式TRAM冷却装置      

 

コヒーレントビーム結合技術の開発

 複数のレーザービームを結合して1本のビームに合成できれば、さらに大きなレーザーパワーを利用できます。それぞれのビームの位相を一致させ、1本のレーザービームのように振る舞わせて集光輝度を高めるのが「コヒーレントビーム結合」技術です。簡易なシステムで多数のレーザービームの位相を高速で制御できる新しい技術の開発を進めています。

5本のレーザービーム(a)をレンズで集光したパターン:(b)非コヒーレント、(c)コヒーレント結合技術により中心部の輝度が高くなります。

 

高速動作・高光耐性デフォーマブルミラーの開発

 高出力レーザーを遠方のターゲットに効率良く伝送する技術があれば、地上と飛行体間の光通信や、宇宙デブリの除去など、レーザーの応用範囲は大きく広がります。ですが実際に大気中をレーザーが進行すると、風や気温の影響を受け、進行方向やビームの大きさなどレーザーの波面が変化して伝送効率が悪くなります。これを補正するために用いられるのが、裏面に駆動素子を配置することで鏡面の形状を自由に変化させることができる「デフォーマブルミラー」です。高出力レーザーの長距離伝送に適用するため、大口径、高速動作かつ高い光耐性を持つデフォーマブルミラーの開発を進めています。

                  

   デフォーマブルミラーの基本構造         デフォーマブルミラー(試作品)

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