研究紹介

STUDY

レーザー計測研究チーム

MEMBER

メンバー紹介

主任研究員 染川 智弘
研究員 倉橋 慎理
研究員 松田 晶平

チーム紹介

研究紹介

レーザーを様々な物質に照射すると、レーザーとその物質が散乱などの相互作用をするだけでなく、レーザー光の偏光などの特性も変化します。その相互作用や特性を「計測」することで、対象物質の濃度や位置情報を得ることが可能です。また、レーザーの高輝度性・高指向性の特徴を活かせば、レーザーシステムから離れた位置でも十分に対象物質と相互作用させることが可能であり、遠隔から対象物質を評価することも可能です。

レーザー計測研究チームでは、レーザー光の特性変化であるドップラー効果を利用したレーザー打音技術による非破壊検査技術や、レーザーと対象物質との相互作用であるラマン散乱を利用したライダー技術の開発、対象物質を絶縁破壊することで得られるプラズマ発光によって元素を分析するレーザー誘起ブレークダウン分光法を利用した成分分析技術の開発などを実施しています。

レーザーによる非破壊診断技術の研究

コンクリート構造物などの健全性評価には、ハンマーで測定箇所をたたき、その音から健全性を評価する打音検査が利用されていますが、打撃音を人が判断するため個人差が大きいという欠点があります。また、高所の点検では、足場を組んだり、高所作業車が必要なるなどの手間、費用もかかります。そこで、作業者の耳が聞く音を、測定点の振動としてドップラー効果で捉え、ハンマーを高パルスエネルギーのアブレーションで代用する「レーザー打音」は、作業者の手が届かい遠方でも打音検査が可能になります。新幹線トンネルでの実証試験や、車載型レーザー打音システムによる高架橋・トンネルの健全性評価に加え、新しい応用も検討しています。また、レーザー照射によって誘起される超音波を利用した非破壊検査技術も検討しています。

※図:新幹線トンネルでのレーザー打音実験の様子

ライダーによる環境計測

ライダー(LIDAR)はLight Detection And Rangingの略語で、気象などでよく利用されるRADARの光源をラジオ波からレーザーに置き換えた技術です。光源を波長の短いレーザーに置き換えることで、空間分解能が向上するだけでなく、レーザーの高輝度性を利用すればミー散乱などの弾性散乱だけでなく、ラマン散乱も観測することが容易になり、成分分析まで実施可能になります。近年では、自動車の自動運転・安全技術にライダーの測距技術が導入され始めたことから注目を集めています。本テーマでは、測距に加え、レーザーと測定対象とのラマン散乱、吸収などの相互作用を遠隔から検出することで、目には見えない物質を可視化する研究を実施しています。また、一般的に大気中で使用されるライダー技術を利用した水中モニタリング技術の開発も進めており、海上でのライダー応用も検討しています。

※(左図)竹富島海底温泉での海上ラマンライダー観測、(右図)6 mの水槽実験の様子

レーザー誘起ブレークダウン分光法による産業応用

レーザー誘起ブレークダウン分光法(LIBS)は、高強度のパルスレーザーを集光照射することによって生じるプラズマ発光を分光分析することで、測定対象の元素分析が可能な手法です。LIBSは固体・液体・気体と試料状態を選ばず、検出感度もppmオーダーと微量分析も可能であるため、広く産業応用にも利用されています。本テーマでは、塩分のLIBS信号を利用したコンクリート構造物の塩害対策などに利用しています。

※図:リモートLIBSシステムによる高架橋の塩害調査の様子

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